ばもすかとうの蹴球茶飲み話

北海道コンサドーレ札幌のことを中心に、よもやまのことを緩くしたためていきます。

【Jリーグ2019シーズン第21節】サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌〜懐かしきソダンよ、もう一度〜

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 札幌と広島との間には、何かしら引かれ合っているのか。名勝負もあれば共通点、奇縁あり。
 地方都市。ミシャ。同本拠地にプロ球団。北広島(市&町)。🐻(方やマスコット、方や山の主)。
 撃ち合いの末に延長戦まで突入し2002年2ndステージ第15節。そして悔しかったのは、2018年第34節。

解説の野々村現社長。時折興奮する鈴井さん。"若いのにルーキー"という名言。若かりし今野や林卓人。8番の系譜ビジュ。ソダン。懐かしいパートナー企業たち。そして公式球FEVER NOVA。
 大変懐かしく、そして目が忙しい動画である。

右に白井、左に菅ちゃん


 すっかりスタメンの座を掴んだ白井。前節は湘南杉岡を翻弄し、今節はキープレイヤー柏と対峙する(次節は多分関根だよ!)。ベンチにはアンロペ&ルーカスと、個での打開点を形成できるカードを残す。荒野が出場停止、駒井が再離脱となり中底の待機戦力は少々苦しい。藤村にかかる期待は大きい。
 金子や高嶺、田中ら特別指定三銃士(オビが加わったら四天王に変える)は今回帯同していない。
 結果的には交代カードを1枚残してビハインドのまま試合を終えた。3人目の切り札になり得る選手の登場を待つばかり。


 コンディション的に不安のある中2日での試合。日は落ちた夜とはいえ、ゲームプランに影響は必至と言える。相手にボールを持たせながら、かと言って持たせすぎないようにしながら、90分かけて試合の中のコスト配分を行う。ベンチには、前回対戦時は負傷のため離脱していた青山も座る。後半途中から久々の登場。

遥か遠きゴールネット

 前半は札幌がゴールに迫る。広島に対してボールを保持し続け、常に優位に試合を運びながらというスタッツではなかったものの、左右からチャンスを構築できたのは札幌。
 G大阪の東口やFC東京の林、はたまた相手にとってのソンユン、対峙したGKにスーパーセーブで阻止されたわけではない。
 日本代表GK大迫によって、名作打ち切り漫画『LIGHT WING』、あるいは『テニスの王子様』的な超次元サッカーがペナルティエリアの中で展開されていたことも否定できないが、作者曰く"プロならお互いの技を打ち消し合って平凡な試合になる"という話なので多分違う。
 ミスというのはスキルが足りないのか、メンタルコントロールが出来てないのかの2択だという話をどこかのインタビュー記事か漫画かで書かれていた記憶がある。多分、相手のファインプレーによる失敗や実力以上のチャレンジもミスとして捉えてないということなのだと思うが、そこに関しては今の札幌も同じような認識なんじゃないかと思う。

罰の訪れ

 ミシャが前半終了時インタビューにて言っていた通り、奪えるところで点を奪わなければ罰がくだる。この時点では、あくまで戒めとしての発言ではあったが、拮抗した力関係であれば、それはそうなのだ。
 結果として、後半開始早々に札幌はビハインドを背負うことになる。

中盤にルーカスは今後継続するのか

 5-4-1で見慣れたリトリート。リスクをコントロールする広島に対して、札幌は今シーズンサイドアタッカーとして起用してきたルーカスを深井と交代しピッチに送り出す。
 深井については怪我明けということもあったし、足も止まりつつあったという判断なのだろう。前半、低く抑えられた菅キャノン(枠内シュート)を膝に受けたシーンもあったが、その後も元気だったので次節以降もやってくれることと思われる。
 ルーカスを真ん中に据えること。ミシャの意図をあまり理解できていない。駒井が本来期待された役割をということなのか、中央からも打開できる個の力に期待したのか。荒野がいれば荒野だったろうし、駒井がいれば駒井がチョイスされたのだとは思う。
 ルーカスは、守備に不安ありということを言われるが、自陣方向に戻る際はサボらずスプリントしている。スピードもあるので、まあまあ戻り切ることが出来る。後半終盤、間延びした展開の中で福森は戻れず、菅ちゃん&白井が酷使される中、もう一枚分の回収係として役割を担っていたように思える。

最後に

 夏移籍が今年は非常に活発。中原に続き、小野伸二の退団、アンロペ疑惑、練習生。札幌もまあまあ動きの出てきたところ。8月末までは油断も何もありゃしない、というところ。固定化された戦力の中で動きにくいよりも、選手個々のキャリアは尊重されやすい反面、有力な若手の流出を見ていると、ここから契約の在り方は変わっていく段階に来るのかなという予感。
 何にしても移籍市場は8月末まで。ヴィッセルvsコンサドーレの日程が怖い。トリニータを襲った悲劇、試合3日前に移籍して、直後敵として相まみえるのは嫌ですよ福森さん。

【J1リーグ2019シーズン第20節】北海道コンサドーレ札幌vs湘南ベルマーレ〜満を持した巨神兵JB〜

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 恩返し弾という文字は良く見る。主に古巣から得点すること(野球ならホームランか)を指すが、古巣側からすると違う恩義の返し方はして欲しいと内心思う。せいぜい、レギュラー格として試合に出場するとか、その中で現レギュラーと互角に渡り合うとか、そこで止めるべきで。オブラートに包まれた恩義より、「放出された悔しさを晴らす」とか「新天地で支持を得るために古巣相手のゴールは美味いから狙う」くらいの劇薬を投下した上で決めてほしい。
 それでも、あくまで古巣相手に恩返しを図る場合は、くれぐれもゴールを間違えてはいけない。同じユース上がりでも、西や藤田のように振る舞うのはどうなのか。櫛引だけを見るんだ。
 そんな冗談はさておき。中原が仙台のサッカーにうまくハマることを祈っている。信じられない方向に化けて欲しい。


 ※タイトル詐欺になりますが、実はベルマーレ戦をそこまでじっくり見れていないため、ざっくり記録してルヴァンの話でも入れていきます。

お互いリベンジに燃える


 あの悔しさは忘れない。今シーズンの開幕戦はAWAYでの湘南戦。コンディション調整の大切さ、そして相手監督の歌唱力を見せつけられた悔しい一戦だったことは記憶に新しい。
 スタジアムの作り的には開幕戦と同じような景色。しかし、ここ数試合勝利を得られていない札幌としては、湘南のアクセラレーションを止めて圧勝を期したいところ。


 昨年王者として挑んだルヴァンカップ。最終節までもつれたものの、グループリーグ敗退。札幌のせいと言われてもこれは仕方ない。
 そういえばあのとき(HOME札幌ドーム湘南戦)も、札幌はリーグ戦低調なタイミングだった。直前に大分戦1-2敗戦というのも同じ。是が非でも湘南戦で浮上のきっかけを掴もうと、ターンオーバーは控えめに臨み、結果4-1で大勝。
 逆に湘南は、連勝し好調な状態で(しっかりターンオーバー)臨み、そこから少しだけ勝ちから遠ざかることになった。何となく同じ状況ではある。

薙ぎ払えジェイ・ボスロイド


 結果としては5-2と、序盤からゴールシーン豊富な好ゲーム。白井の頑張りはもはやフロックではなく、ルーカス起用時よりも進藤が生き生きしているような気がすることからも、今後更に競争が激化してくる。競争万歳。じゃあ左サイドは、というと、菅ちゃんは白井だけでなく中野との競争も制し、ポジションを得なければならない。チーム全体のバランスや個々のクオリティ、チームとしてやりたいことによって人選はまだ確定する様子はなさそう。
 進藤について、今シーズン初の流れの中での得点だった。走行ルートや武蔵との関係、インパクトの巧みさは言うまでもないが、プレー毎切り替えと判断のスピードが抜群だった。あの集中力を以て攻守に躍動して欲しい。
 そして何と言っても、巨神兵ジェイ・ボスロイド。今のコンディションを作るために必要な春先の休みだったと言うなら、文句のトーンも少しばかり下がってくる。チームの”保険”になり得るクオリティでジェイがビルドアップの逃げ道となっており、地上空中両方でターゲットとなる様はチームのエースと言える活躍じゃないだろうか。白井からのクロスに合わせたゴールシーンなんかは、クロスの導線上に4人相手がいる中1人で打開してしまう理不尽。シーズン後半は、皆勤で猛威を振るい続けて欲しい。
 

スポーツは快適な環境で

 気温29.4℃、湿度48%。夏場13時開始のゲームとしても、気温は低くないものの湿度は快適な部類に入る。現在、高校総体を開催中の沖縄県金武町などは、13時時点で気温31℃、湿度78%だからそれはそれで恐ろしい。沖縄で7日間6試合。ひとまずそれは置いておく。
 (不要の失点もあったが)両軍合わせて7得点の乱打戦、それ以外にもお互いにチャンスを構築しながらの見ている分には大変な好ゲーム。これはひとつ、北海道の気候条件というのも作用してのことだと思う。ドームならそもそも天候関係ないけれど。内外の環境に合わせアウトプットを変えていくというのはプロフェッショナルたる所以であり、そこにまたゲームの面白さは出ることも間違いないのだけれど、まず日本においては良好な環境下でできるプレーレベルの基準値を上げていって、それをファンやサポーターに見てもらって面白いと思ってもらう。その段階なんじゃないだろうかと、周囲の反応を見ると思うところである。雨は許容範囲内だと思うけれど、あまりの酷暑の中で試合しても……という印象。

ルヴァンカッププライムステージの組み合わせ決まる

 武蔵が野々村社長のモノマネを披露したと話題のオープンドロー。YouTubeでも中継見ることが出来たりする中、この暑さでも会場に行って見届けたサポ―タ―の方々は相変わらず素晴らしいバイタリティ。原さんはじめ、運営全般で極力挨拶などを短く進行しながら、しっかりと場を整え、選手もいじる。これもプロの仕事なのだろう。
 気になる組み合わせは下図の通り。こう見ると、どのチームもGKのレベル高いなあ……。
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■サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌(ミシャ古巣マッチ) 
 8/3にリーグ戦での試合も控える。今シーズンは札幌の1勝。その時は札幌はチャナ、ジェイ、宮澤、アンロペは不在。早坂がシャドーの一角を担うという試合だった。
 広島も、ゲームメイカー青山が復帰となるとチームが変容する。8月の一戦で、まずは苦手意識を相手に刷り込みたい。

■FC東京vsガンバ大阪(長谷川健太古巣マッチ) 
 リーグ戦暫定首位のFC東京。短期決戦となるとFC東京のゲームプランはより生きてきそう。
 長谷川健太と宇佐美貴史。この字面だけで興奮する。今度は敵同士とはいえ。パトリックが加わり懐かしさすら感じる大阪攻撃陣に注目。

■鹿島アントラーズvs浦和レッズ(オズワルド古巣マッチ) 
 オズはもういない。決勝カードっぽいけどまだここは準々決勝。”常勝”鹿島だが、今夏3選手を海外へ。両チームともに、補強は終わりなのか、それともこの後大きいニュースが出てくるのか。それによっても見どころは変わってきそう。

■名古屋グランパスvs川崎フロンターレ(風間八宏古巣マッチ) 
 川崎に当たりたくないという心の他方、このカードはやはり何度でも見てみたい。それこそ川崎をここで倒せば、名古屋の流れも変わってくるはず。相馬くんは今日で大きく名を上げた。まだまだ羽ばたける。

最後に

 夏の移籍市場を眺めていると、ある程度の流れとして、若い選手は海外を目指しやすい環境になってきたのだと思う。それは移籍先のニーズとしても、その先のキャリアビジョンを描く上でも。その中で、札幌の選手が夏のタイミングで移籍をするとなった時、自分はどのような気持ちで送り出せるのだろうかと少しばかり考えてしまう。前向きな移籍なわけで、祝福と激励を以て送り出すのが筋だが、同時に、抜けた後のことを考えたときの不安や焦燥感に支配されてしまわないか、少しばかり不安はある。
 今のフロントならば、それだけでなく、ソンユンやミンテの兵役やチャナ、日本人選手だけでなく引退までずっといてくれるわけではない選手たちがいるわけで、きっと備えを案として持っているはず。それを信じて、今チームを応援し、サッカーを楽しむということが大事なのだろう。

【J1リーグ2019シーズン第19節】大分トリニータvs北海道コンサドーレ札幌〜前後がバラバラじゃねえか〜

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 今節は各地でいわゆる"誤審"と呼ばれるような判定、あるいは判定を取り巻くやりとりが発生した。毎週火曜日恒例のJリーグジャッジリプレイでももちろん取り上げられ、多くのJリーグファンが未来の競技像を思い描き、その理想が早く実現することを祈ったことでしょう。
 具体的でも漠然とでも、そうした理想を思い描くことは物事の前進においては必要な過程である。筆者が描くのは、VARをはじめとしたテクノロジーの補助を受けながら、運用者はあくまで人間同士であることと、ピッチ内外からリスペクトされる状態。
 サッカーという競技環境は様々。VARのいない環境でも、カテゴリ問わずサッカーが成立できるように。
 きっと問われるのは発信の在り方。Jリーグや選手、審判団。ともすれば中継に携わる方々、報道やコメンテーターの皆様にも深くお願いをしていきたい。
 ひとまずは、ルヴァンカップにおいてVAR含めた審判団がどのような運用をされるのか。完璧を求めすぎるよりも、課題を見つけるきっかけにもなれば良い。

働き方改革の肝は適材適所


 チャナティップが復帰したことで前線にはある程度人が戻ってきた。ジェイが控えるのもバリエーションとして面白い。中盤も駒井や宮澤が控える。
 ただ、よくよく見ると全員復帰ではない。サイドを主戦場とする中野嘉大やCBもできる石川直樹。コンディション的にまだ万全ではないと見える選手は他にもいるだろう。
 シーズン通して万全な状態で戦うというのは実に難しいのだと、改めて考えさせられる。


 大分もまた、怪我による離脱者が出てきたことで万全とは言い難い。
 しかしそれとは別に、試合開始時点ではチーム得点王の藤本をベンチに置き、ワントップにはオナイウが入る。
 試合は90分あり、出場時間の多少よりも意図したシチュエーションの中で藤本の一刺しを見舞おうという魂胆だったのか。片野坂監督の思惑は探り切れるところではないが、結果としてオナイウがこの試合のヒーローとなる訳なので、起用は正解だったと言えそうだ。

冷静と情熱の間

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 札幌は試合開始から極端なハイプレスを敢行。最後方からボールを繋いでいく大分に対し、札幌は守備の基準点たる目の前の相手を常に追い掛け回す(多少語弊あるけど)、所謂マンマークでの対応。
 ソンユンがオナイウをマークするわけにはいかないため、GKも繋ぎに参加できる大分は基本的には11対10でのビルドアップが可能。しかも、GK高木はフィールドプレーヤー顔負けの展開力を有する。高木が自由にプレーできる時間とスペースを与えてしまえば、結局のところ数的不利な状態で、しかもマンマークあるあるの偏った配置から守備を開始することになってしまう。それ故に、武蔵が走る。ここはある程度どうしようもない。
 上図のマンマーク仕様のボール非保持配置を見ていただきたい。セオリーとしては最終ラインは相手+1人を配置するが、この場合はオナイウに対してもミンテが1対1で対応する。もちろん、シチュエーションによってはリトリート、撤退し人数を揃える。要はどういうことかというと、このマンマークは後方に行けば行くほどリスクを抱えた作りとなっている。※ミンテならオナイウに対応できるという前提はある。
 そのためにやることとしては、先述したように武蔵が走ってGKまで封じるというのはそうなのだが、その目的は大分の選手が自由にプレーを選択し実行するための時間とスペースを削ぎ取ることにある。技術的な問題を大分に生じさせることはもちろん、正常な判断を行うために必要な状況把握の時間を与えないことが肝になる。荒野が長谷川を捉えるために中盤を留守にしても、有効に使わせない(深井も不在になったときは流石に活用されたが)。
 試合を優位に進めるためにボール保持率を相手よりも高く取ることが必須でないことは、そろそろ札幌サポーターも実感を持っていることかと思う。かといって、ミシャは相手の良いように主導権を握られることを良しとする監督でもない。ボール保持は譲ろうとも、リスクを提示し試合を動かすべく手を打っていったと言える。

前後がバラバラじゃねえか

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 事実、この札幌のハイプレスに対しては大分も想定の中にはあっただろうが対応を要することになる。試合中の運動量と声量に対しストイックな片野坂監督が開始早々、ベンチにてコーチ陣と打ち手を講ずる。
 札幌としては、この十数分の間で具体的に嫌な思いをさせておきたかった。あるいは、明確に撤退を命じるべきだったのかもしれない。
 というのも、上手くいった場面を作ることができた反面、各所で綻びが出始めていた。
 まずは、武蔵のムーブに無理が生じる。複数の守備の基準点への対応はやはりしんどい。ここで、平素より取り組まれていた撤退守備に切り替われば良いのだが、如何せんマンマークの意識は選手の心に刻まれたままだった。このあたりから、対応に変な柔軟性が生まれていく。瓦解の始まりである。
 徐々に蝕まれつつあるこの時間帯だったが、札幌は先制点を奪う。ルーカス&チャナの個人技から持ち出し、シュートのうまい白井がカットインからシュート。記録上オウンゴールだが、記録以外白井のゴールということで心を整える。
 話を戻す。武蔵は前線のハイプレスを多少諦める。しかし、後方は少しだけ諦めの悪い男たち(語弊しかない)。少しずつ前後の分断が進行していく。
 一人に対して二人で対応する。フリーマンが発生する。プレスが遅れる(けど行く)。もっと良い位置でフリーマンが生じる。致命傷を避けるべく後方はリスクヘッジのためリトリート。およそこのような形が各所で生じる。
 それにしても、大分のビルドアップは、各駅停車のパス回しではなく、1人飛ばして落とす。前向きの選手を作ることがうまい。

生き場所を見つけた白井

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 札幌のボールの保持の形と、大分の振る舞いのひとつ。福森はどこを相手にしても要警戒物件。札幌の左サイド、白井は大外ではなくチャナが落ちてきたことで空いた、いわゆるハーフスペースを活用する。
 菅ちゃんよりもダイアゴナルランのタイミングが合うのか、白井は自分の戦場を見つけたように思える。カットインからのシュートは知っての通りゴールの可能性を感じさせる。福森が持ち場を空けたときのダイナミックお留守番も今のところ頑張っている。
 ここでもう1人、この働きの出来そうな(期待10割)のが岩崎だ。シャドーに入ってチャナの役割をこなすよりも本来の特徴に近いのではないか。この夏にでも出番を求め武者修行に出てしまいそうな、そんな雰囲気もないわけではないが。ごはんを美味しそうに食べる三枚看板の岩崎と檀崎、そして中原にはどうにかJAの親善大使オファーを獲得するくらいの活躍を期待したい。

歪みの帳尻を合わせる差配

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 決勝点を大分オナイウに献上したシーンの少し前。すこぶる画質は悪いが、考えずに感じてほしい。札幌は右から左に攻めており、最終盤のハイプレスを見舞っている。嘘だ。札幌は左から右に攻め、これはビルドアップの過程である。赤丸の印を付けているのは福森。誰がどうという話ではなく(ミンテが迂闊、進藤が詰めてない、白井が悪い、やはり宮澤か等、熱感ある意見が多々飛び交っていたがそれはそれとして)、そこまでのプレー展開の中で生じていた歪み、配置配分の偏りに対しての帳尻を合わせられたように感じる。ここまで非保持の際に爆弾処理をさせ続けたミンテを責めるのも酷だろう。
 強いて言うなら、この状況をある意味必ず気付ける福森から、割り切ったプレー選択をさせる指示が出るべきだったのかなと。当の福森は電池切れのような表情だったが。

進藤のイエローカード(累積リーチ)恐怖症説は妥当なのか

 正直わからない。当人がマスタード色のカードを恐れて激しいプレーが出来ないと言うならそうなのかもしれないし、それなら前半に敢行したハードチャージは別人格によるものなのかもしれないし。
 後半開始後立て続けに3回ミスを重ねたシーンはイエローカード関係なく漠然と不安になったが。
 終盤の失点シーンで相手との距離が遠いと言われた件に関しては、距離よりも角度の方を修正できそう。ソンユンならスペシャルなシュートでなければあの距離で決められる可能性はそこまで高くない。それよりも自身が抜かれた方が致命的になり得る。そのあたりの意識もあって、何でも選択可能なオナイウに対して詰めることよりも構えてコースを塞ぐことに注力したのだろう(憶測)。ただ、結果として進藤の体はシュートコースを全く切れていない。もう少し中央寄りに位置取れば、距離詰めるよりもシュートコースは遮断できる。
 このあたりは結果論でしかない。シュートが宇宙を開発していれば何も言われないシーンかもしれない。もしかすると、飛び出さずに進藤は冷静だった、などと称賛されたかもしれない。

最後に

 ミシャ式は適応までに時間を擁するという意見と、片野坂サッカーの完成度の高さを感じるという意見。
 片野坂監督率いる大分トリニータ、この試合で出場した14選手のうち半数の7人が今シーズンからの加入選手となる。対して、札幌は出場14選手のうち新規加入選手は3人(武蔵、アンロペ、ルーカス)。
 環境もやろうとしていることも違うので何とも言えないところだが、まだまだお互いに伸びしろのある2チームということで。
 夏の補強は置いておいて、武者修行については考えてあげるべき選手が数名いるような。蓋を開けてみてから、このあたりはまたけんとうしたい。
 何はともあれ、そろそろ勝利への飢えが過ぎるので湘南戦は開幕のリベンジに興じることとしよう。

【J1リーグ2019シーズン第18節】北海道コンサドーレ札幌vs松本山雅FC〜"強なんで"の呪い〜

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 そういえば、AWAY松本山雅戦も直前でルヴァン大敗の直後だったような。結果的には突破出来たリーグの1試合とトーナメント敗退とで捉え方は違うかもしれないけれど、「この悔しさは眼鏡にぶつける」という流れは様式美に近い。
 前半戦のチーム内最優秀選手は誰かという話。主力級選手が不本意ながらシフト制となったため対象者は絞られる。より勝ち点に貢献した順で言うと、やはり守護神ソンユン。欠勤の穴を埋めたという点では、早坂と金子。成長度で言うと、ソンユンやミンテに加えて武蔵もリストアップされると思っている。
 この試合でも武蔵はシャドーの位置に入った。位置的にはチャナの代役ということだが、シーズン当初は武蔵がこの位置、ジェイやアンロペとの組み合わせで効果的な働きが出来るような選手とは想像していなかった。A代表への選出も何かしらのきっかけだったのだろうが、前半戦の収穫として武蔵のプレー幅が広がったことは大きい。
※とはいえ武蔵がレオシルバや米本らにマークされるとなると話は変わってくる。
 

日本代表からスタメンを奪った男(暫定)


 この試合、前節(仙台戦)から変更があったのは左WB。菅ちゃんに代わって白井が入る。馬力の菅ちゃん、初速の白井。それぞれに良さはあるが、福森との相性やシャドー&ワントップとの関わりの方が試合全体を踏まえると重要。
 チャナは松本山雅戦は今シーズン2試合ともに欠場。AWAY戦不在だったアンロペとジェイがスタメンに並ぶ。


 "足の速い中田翔"こと前田大然を擁する松本。この夏に誰かしらの補強、あまり噂を聞かないがどうなのか。

俺たちのサッカー

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コンサドーレボール保持時
 札幌のボール保持。時間帯によってお互いに振る舞い方は変化した。
 序盤のターゲットはジェイ・ボスロイド。高さを活かすよりも裏を狙うボールが有効。松本との前回対戦時、ワントップを張った武蔵の裏抜けと福森の高精度フィードが噛み合ったシーンを今回はジェイが再現する。松本の最終ラインにジェジエウやファン・ダイクはいないにせよ、せっかく築いた松本城壁がいとも簡単に越えられる。リアクションの悪さもあっただろうが、やはり福森のクオリティが抜群だったのだろう。きっとそうだ。
 中盤以降、松本の対応により、ボールの出処を自由にさせない。ソンユンを中心に狙いどころとされ、ゆったりとした準備と選択の猶予は少ない。高さに優位性のあるジェイには中々良いボールが入らず、ビルドアップの出口はアンロペやルーカスへ。五分五分の勝負になる。
 松本の術中に嵌まりつつ、落ち着かない時間帯が続く。トランジションの応酬については、後述する。

三本の矢

 武蔵はチャナの役割を果たそうとする。対して、アンロペは前線でマタドールの仕事場を守る。福森や深井は左から前進し、ソンユンからのロングフィードも飛び交う展開。ルーカスやジェイが競り合った後に対応可能な距離感を保つためのポジショニングだったのかもしれない(セカンドボールを拾えるとは言っていない)。
 ジェイ、アンロペ、武蔵をトリプルタワーと称することがあったが、この試合を見る限りアンロペはボール落下点に入るのがあまり得意じゃなさそう。
 雰囲気と帰化意欲、人柄の良さという共通点だけでパトリック的運用をするのは得策ではない。

ジェイの日ではなかった

 プロとして、試合後のジェイの発信やそれに伴うメンタリティは貴重なもの。幾度となく決定機を枠に当てても、スイッチを常に切替なければならない。ジェイの日を待つばかり。
 対して、サポーターはとことん引きずって良いと思っている。喜怒哀楽を表現することで独特の空気感は生まれるし、エンターテイメントにおいては、それが転じてエモいというものに繋がるらしい。エモいという概念については研究中である。

不確定を勝機にしたい松本

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コンサドーレボール非保持時
 松本といえば、ロングフィードを軸にした攻撃展開。ミスやボールロストが生じたときにダメージの大きい位置へ火種を投じていく。ギャンブル性の高そうな思想ではあるが、しっかり科学することで世界のトレンドのひとつとなった。
 大仰な話をしたが、何もロングフィード以外がタブーとなっているような、一昔前の高校サッカー的指導ではない。障壁なく前進出来るならするし、その方がボール非保持側も選択肢が増えて煩わしい。
 この試合を通して松本はボール保持率を比較的維持しながら進行させていた。事前のゲームイメージと一致しないことに札幌サポーターも困惑する。
 ジェイやアンロペがそこまで松本のビルドアップ始点に負荷をかけられない(守備基準として認識があったのかは不明)。時間とスペースが与えられれば、プロクオリティのロングフィードを放り込めるし、余裕あるビルドアップの道筋も多く見えてくる。松本が所望するトランジションの応酬を呼んだ要因のひとつとなった。
 こうした構造となることはミシャや四方田氏らの想定内だったのか、そして修正の手を打っていたのかはわからない。

"気持ちの強さ"という呪い

 『呪い』を"まじない"と読むか"のろい"と読むかは皆様のご自由に。勝手なイメージ、前者が若干ポジティブで後者は完全ネガティブ。
 試合中や試合後にTLに流れてきた中で芳醇な香りを発していたのは"気持ちの強さ"や"メンタルで負けている"という言葉たち。
 個人的には、この手のものは決断に迷いないように"見える"ことを称した表現だと思っている。滝行をしたり、これ以上辛いことなんてないと思うくらいのハードトレーニングを積んだり、"強なんで"とお気持ち表明するより、味方のことを知ることとか、技術や戦術的に補完したりできる要素じゃないかと。
 その点、松本は良い意味で割り切っているために決断に迷いは少ないように見える。
 そして、そんな松本が上位争いをしていないのは、迷いなく最善ではない決断を選ぶからなのだろう。反町監督はリアリストである。

最後に

 チャンスも多かったがピンチも多かった。面白かったのは、前回AWAYでの対戦時ハイライトと似たようなシーンが両ゴール前多かったこと。次節大分戦もそんなことがあれば目も当てられないところ。
 チャナや宮澤が復帰することで、ロングカウンターを軸のひとつとした構え方はどう変化するのか。守備はどこを捨てるのか。駒井はコンディション上がってきているのか。次節(本日)も注目です。

【Jリーグ2019シーズン第17節】ベガルタ仙台vs北海道コンサドーレ札幌〜前門のイシハラ、後門のマテ〜

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 久々のディレイ観戦。本当は仙台に行ってしまった兵藤さんを見に行きたかった。しかし日程には抗えない。日程は正義、日程こそが法。シーズン後半も、きっと日程神はまたお戯れになることだろう。

強そうなスタメンと役割理論


 川崎戦で負傷していた福森が復帰。代わりに、肉離れとの報道(タイメディア)もあったチャナティップが欠場となる。前線にはジェイ、アンロペ&武蔵と破壊力のありそうな3人が並ぶ。
 チャナの役割は攻守に多様。ボール保持時においては間受けをこなし後方とのリンクマンを務めながら、複数名の相手を引きつけ前進を期待できる。味方にスペースと時間を与えられる選手。同位置で起用される武蔵には縦への速さや高さが期待できる。アンロペやジェイがチャナの役割を方法は違えどこなしていくことが求められる。


 将来的に日本代表のゴールマウスを守ることになるだろうダン(といえば諸星)ことシュミット・ダニエル。試合後に正式発表となったが、シントトロイデンへの移籍がほぼ決まっており、この試合に懸ける気持ちは強い。
 そして、パワフルかつクレバーに振る舞える怪獣シマオマテは守備のキーマン。前線に並ぶ石原、長沢は攻守で多様な引き出しを持つ。

前門の石原軍団、後門のマテ&ダン

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札幌ボール保持時
 札幌のボール保持時、オーソドックスな形。札幌はミシャ式。
 仙台はボールサイドに人を寄せながら、局面で数的不利を作らないような配置。2トップはソンユンに楽をさせないことを除けば、基本はパスコースを限定し待ち構えながらプレスバック→トランジション対応の準備。シャドー2枚はボランチが捉える(チャナの場合はやり方変えたのだろうか)。ジェイにはCB2枚がチャレンジ&カバーの構図だが、福森や深井を起点に左から前進するケースが多いため、ポスト時はシマオマテが対応。
 仙台の守備において特に有効だったのが2つ。石原を中心としたプレスバック及び収縮。そしてシマオマテによる中央の封鎖。
 後述もするけれど、こうした中央封鎖については仙台のネガトラ対策が功を奏した後の形。
 札幌としてはチャナ不在もあり、サイドからの崩し→トリプルタワーによる強襲は意図から大きく外れるやり方というわけではなかったろうが、仙台の守備陣からすると集中しやすい攻撃に偏ってしまったことは否めない。
 それでもフィニッシュの形は作れた。しかし最後は個のクオリティに頼るところ。シュミット・ダニエルが立ちはだかる。ソンユンを前にしたワンソウルや前年王者、菅さんを相手にした名波氏やヴィヴィくんの気持ちが少しばかり理解できた。
 いつぞやの東口への借りは返すチャンスもありそうだが、ベルギーに飛ぶダンにはいつ返そうか。

どこかで見た景色

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札幌ボール非保持時
 札幌のボール非保持時、見られた形。
 ポイントとしては武蔵とアンロペの位置取り。仙台はSHが内に絞り、SBが高い位置を取る。後方の数的秩序を守るために、武蔵&アンロペは仙台のSBに対応可能な位置まで落ちてくる。ロングカウンターにおいて札幌の基軸となる2人の初期位置を落とすことで、仙台はネガトラにおける不安事項に対処しながらボール保持を進める。
 中央は同数。荒野&深井は後方の2TOPへのパスコースを警戒しつつ人にも対応。内側に位置取るSHを含め塞ぐべきパスコースは随時増える。仙台は縦パスからのレイオフをスイッチにバイタルエリアを攻略。個々の打開力では札幌よりも期待は小さかったが、複数名の関わりによりチャンスを構築した。

追いかけるよりも追われたい

 札幌は多くの時間を追いかける展開。仙台はホームであり、必勝の構え。リード時には札幌のほころびに対して敏感に攻め込みながら、対してリスクあるチャレンジは必要としない。
 その点で札幌は、ボール保持における焦りや無謀な強引さをそこまで感じさせない。内心はわからないが、チームとして仙台の守備に対して自信を持って向かい合っていた。
 先制時の勝率は申し分ない(追加点はもっと欲しいときあるけど)。相手を前がかりにさせることで、前線にスペースを得るチャンスが増える。アンロペや武蔵が野に放たれる場面が想像できる。
 シーズン序盤から、試合の入り方にはそこまで失敗しないミシャ札幌だったが、徐々にアップグレードを必要とするところかと思う。追いかける展開は見ている分には楽しいが(追い抜くの前提で)、極力無しの方向で後半戦は試合運びをしていきたい。

最後方でのボールロスト

 決勝点に繋がったのは、ソンユンを中心にした後方からのビルドアップにおけるボールロスト。ただ、あそこで大きくボールを蹴る判断を絶対とすることをミシャは是としないだろう。むしろ、この仙台から2点以上取れることに対して引き続き投資をしていってほしい。
 結果として1-2の敗戦。シーズン序盤の停滞はあったものの、仙台はやはりしぶといチームだった。

最後に

 水曜日には天皇杯も敗退。天皇杯に関しては、来年の第100回記念大会でプレミアムなタイトルを。石水社長には申し訳ないが、これで勘弁してもらおう。この悔しさは眼鏡にぶつけたい。
 というわけで次節はホームで松本山雅。girls dayということで黄色い声援が飛び交うことだろう。女性向け企画という点では、松本山雅は今シーズン、名古屋グランパスが開催したガールズフェスタでは無慈悲な勝利を収めている。恐るべし。
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 夏の移籍期間、札幌の選手動向はどうなるのか。先日の天皇杯2回戦やルヴァンカップのグループリーグでも感じたところだが、高卒選手には実戦経験をもっと積ませたい。レベルの高い環境で練習に取り組むことは出来るかもしれないが、連戦時には練習も部分的なものになる。大卒選手のクオリティの高さを見ると、本当に濱や藤村、檀崎、中村あたりは数年で伸びるのか、少しばかり心配。レンタル等でトップの試合に出られる環境を与えられるなら、その方が…とは今シーズン前兄弟あたりを見ていて思う次第である。
 

 
 

【J1リーグ2019シーズン第16節】北海道コンサドーレ札幌vsサガン鳥栖〜雨風吹こうとおそれはしない大きなおれたちさ〜

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行け行け 赤と黒の
俺たちの札幌
そうここは我らの厚別
見せろお前の情熱

 雷を含む豪雨のち雨。そんな天気の中敢行された聖地厚別での一戦。
 監督交代を経て、原点とも言える闘う姿勢を取り戻したサガン鳥栖。そして神の子フェルナンド・トーレスの引退がこの時期に発表された。HOMEでのヴィッセル神戸戦が最後の舞台となるらしい。
 しかしそんなことはコンサドーレには関係のない話。そうここは厚別。必勝の構えで迎え撃つ。

ベストメンバーとは


 前節ジェジエウとの接触で痛めた福森に代わり左CBには石川。左WBには白井、右WBには出場停止明けのルーカス・フェルナンデスが入る。前線はルヴァンで猛威を奮ったアンデルソン・ロペスではなく、前節同様のワントップジェイ、チャナ&武蔵のシャドーで組み合わせる。
 前節のマッチレポートでも書いたが繰り返す。今シーズンのコンサドーレからベストメンバーという概念は失われた。
 怪我人や離脱者がローテーションする美しいシフト制、コンディション的にもどの組み合わせがベストなのか、やってみないとわからない感がある。最繁忙期の大集合に向けてミシャの悩みどころになる選択肢が増えていれば僥倖。
 ミシャのことだから実のところ揃ったあとの構想は固まっているのでしょうが、(練習見ていない上での個人的感想として)"圧倒的"といえる選手が揃っていないことにチームの伸びしろと競合劣位を感じる。それでも、複数名いる”拠り所”のレベルが確実にJ1クオリティになってきたのは嬉しい限りである。

お天道様と向き合うとき

 雨の日だろうと屋根がある。猛暑日だろうと屋根がある。いつしかHOMEは天候の影響をそれほど受けない、快適な空間と化していた。
 しかしそうここは厚別。屋根などない。規程として、今後新築・改修されるスタジアムの観客席には屋根をというお達しがある。
 オンザピッチで、このような雨天はどのように作用するのか。

  1. 芝の状態が変わることでボール、人の動きに影響→滑る、止まる、緩む、酷いときは埋まる。怪我のリスクも高まる。
  2. ボール、スパイクが濡れることによるコントロール、ボールタッチの感覚が変わる→現在のボールだと昔ほど影響は出にくい。しかしやっぱりロングフィードの際など微妙な感覚のズレは出る。
  3. スパイク、ユニフォームが水を含むことでの重さ→現在の素材すごい。
  4. グローブが濡れることによる影響→とても滑る。バウンド処理以外にもGKは大変。
  5. 雨粒による視界の妨げ→これは筆者も一番苦手。普段よりも"観る"ことに意識が向けられる。
  6. 雨音による注意力の阻害→ミシャの「アラノーゥ!!」は無事聞こえた模様。
  7. 気温の低下→怪我のリスク。しかし夏場はプラスに作用するときもあり。
  8. 湿度の上昇→場合によっては地獄。
  9. 髪型の乱れ→荒野はかわいらしくなり、深井は常時試合後の銭湯スタイル。ソンユンが正義。

 ざっと思いついた順に挙げてみたけれど、ミシャが試合後にコメントしていた通り、そこまで深刻な影響はなかったように思える。逆に、ルーカス・フェルナンデスなどは転がるボールの減速を把握し、ドリブルのインパクトを強めにすることで効果的に加速。このコンディションを利用していた。巧みです。
 ”環境に翻弄されるのは二流、適応できるのは一流、利用できるのは超一流”みたいな格言があったような気がする(漫画だったかも)。ルーカスは確かに超一流の可能性を見せてくれている。

キッカー不在が心配されたセットプレーからの2連撃

 福森の欠場は先述した通り。代役のキッカーはルーカス・フェルナンデス。以前も右CKのキッカーを一時的に務めたことがあったが、高いところからスポットに落とすような球質、当時はあまり有効なものとはならなかった。
 しかし今回、中央では王様ジェイ・ボスロイドが待つ。
 まずは前半19分に獲得した右CKの場面。
 鳥栖は急所になるニア〜中央に人を配置してゾーンを守り、キーパーソンにはマンマークという守り方。
 セットプレーをゾーンで守ると聞くと、赤黒のサポーターなどは少しばかり良くないおもひでがぽろぽろすることもあるが、何事も理論に対して洗練されていなければ脆いというのは今も昔も変わらない。
 ゴールから離れるアウトスイングのボールが、フォアサイドにフリーで飛び込む石川の足に吸い寄せられ先制。石川は札幌復帰後初ゴール。
 因みに、この日鳥栖のゴールを守ったのは、札幌GK菅野と同じく横浜FCからプロのキャリアを始めたGK高丘。飛び出しながらボールに触れることが出来ず、当人としても悔いの残るシーンになった。
 CKでアウトスイングのボールを蹴るとき、ゴールラインを直接割らないよう、コーナーアーク手前側にボール置く選手が多いような気がするけれど(福森とか)、ルーカスはゴールラインとコーナーアークの接点にボールをセット。曲げるより落とす。ルーカスがニアサイドに蹴ろうとするとどんな球質になるのか、今度しっかり見てみたい。
 続いて札幌は前半30分に左CKを獲得。今度はインスイング、ゴール方向に曲がるボール。GKは出られず、DFもフェアに飛んではジェイ・ボスロイドの高さに太刀打ちは出来ない。圧倒的な高さとボディコントロール。札幌は大きい大きい2点目を得る。
 結果として前半早い時間帯で、札幌は当初不安視されたCKから2点を先行する。

紙一重の攻防と唐突な受信


 スコアは先行するも、鳥栖は要所で人数を掛けずに攻撃を完結させる。前半のうちにこうした形から1点でも返されていたらと思うとぞっとする。
 動画のケースなどは、ソンユンのスーパーセーブと進藤の唐突な男性ホルモンの受信を収めた名シーン。
 失点しないまでもDFとしてはやられた感が蓄積されていく。あまり気持ちの良いものではない。

後半の猛攻を耐え、とどめの一撃


 後半9分、ヴィクトル・イバルボがピッチに入る。実質これを合図に、鳥栖の攻撃スイッチが切り替わる。ボール保持時、中央で計算の出来るイバルボが入ることで金崎はラインの攻防を減らし遊撃の役割を増す。チャナ&武蔵が中央付近で仕事をすることが増え、原川を出し手にサイドのパスルートが構築される。両サイドも高い位置でボールを受ける、良い循環が生まれた。
 パワー型(定義はない)プレイヤーは戦術的に重宝される。個性がどのように戦術に組み込まれているのか、その意図を想像し理解しようとするのはとても楽しい。同時に、個としての役割しか与えられない恵体プレイヤーはどこか勿体無さを感じる。
 それにしても、イバルボ、パトリック、バイス、シマオマテ、ウェリントンあたりがボールを争う怪獣大戦争が見たい(出演者募集)。
 最終スコアは3-1。武蔵のゴールは圧巻だった。試合前のシュート練習で随分と枠外に放っていた形だが、これが決まってくると今度は縦へのドリブルが相手にとっては更に脅威となる。時間帯含め状況次第でゴールバリエーションの幅が広がると、今後も頼もしい限り。

ルヴァン杯(前・ナビスコ杯)22年ぶりベスト8進出!

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 ジュビロとの相性の良さを鑑みても、どこか苦しい戦いになるのではないかと思うところはあった。こういう大一番、何となくコンサドーレというクラブは軽く転ぶ。
 そんな心配を他所に、電光石火の武蔵ゴール。アンロペの追加点。岩崎は断固流れの中でのゴールを所望し、白井は躍動。ジュビロもまた苦しんでいる。
 それにしても、22年前と言われると自分も7歳。一足先に三十路を迎えた宮澤キャプテンもまだ小学生、もう室蘭大沢FCでヤンチャしていた頃だろうか。室蘭大沢といえば、今年度末でチームが解散になる。小学校の統廃合も影響してとのこと。所属したチームはもちろんだけど、子供の頃に対戦したチームが無くなってしまうことにはやはり寂しさがある。地方にサッカーを広め育てた意志はそこで潰えず継いでいきたい。
 そして、6月公式戦負けなしまであと1試合!同時にリーグも折り返しを迎える。
 仙台はここ数試合、結果を出している。相性もよろしくない。チャナも出られるかどうか。ネガティブを乗り越え、勝利で夏に突入してほしい。

最後に

 サッカーの見方について考える。ここ数試合、合理より情理に重きをおいてサッカーを見てまとめてみた。気持ちは安太郎。
 事前のインプットもせず、噛み合わせや状況の整理も言及しないので、マッチレポートを読み返しても思い起こせるものが少ない。
 安太郎氏はどんな想いでお茶の間にサッカーを届けているのかその真意こそわかるところではないが、やはり、どちらも出来ないと記憶の記録としては難しいなと改めて感じた。
 また少し次回からは見方とまとめ方を出来れば工夫してみたいと思う。趣味の範疇で最高に楽しむために、大事なことだなと改めて。

【J1リーグ2019シーズン第15節】川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌〜汝、右の頬を叩かれたらルヴァンで憂さ晴らし〜

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 金Jの朝は早い。その週に処理してしまいたい業務にアプローチしながら、もちろん当日に放り込まれるロングボール(緊急案件)にも対応できるだけの準備を整える。かと言って、余裕を持たせては誤解を生むので、そこは巧いことやらねばならない。ちなみに金J前日の夜は遅い。これもまたやむなしである。
 昨シーズンのAWAY川崎戦は、コンサドーレにとって単なるリーグの中の1試合ではなかった。タイミング、結果。期するものは多い。それもあってか、多くのサポーターが等々力へ向かい、当日はチケット完売大入りの一戦となる。
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等々力のスタンド、俯瞰出来ないのは仕方ないにしても、陸上トラック部分が距離を感じさせる。雰囲気だ、雰囲気を楽しむんだ。

もう思い出せないベストメンバーの記憶


 王様ジェイがスタメンに復帰。コンディション不良を報じられた武蔵、チャナが間に合いスタメンに、そして驚異的な回復力によりアンデルソン・ロペスがベンチに入る。スポットは当たらないがこっそりと中原がベンチに戻る。個人的には石川のスタメン起用も嬉しい。
 何となく揃ったような気になったが、指導員駒井&キャプテン宮澤は調整中。岩崎はフランス、菅ちゃんはブラジルに。ルーカスは前節退場のため出場停止。
 今シーズンに至ってはベストメンバーなどという概念は消えた。それは最早祈りに近い願望に過ぎない。


 アナウンサーじゃない方の田中碧はフランス、北見の猛犬・奈良竜樹は残念ながら怪我のため欠場。
 昨シーズンそのドS振りでコンサドーレを絶望の淵まで追い込んだ中村憲剛はベンチ外。最近は得意のSNS更新も滞りがちなので少し心配ではある。
 注目はツートップの人選で、今回は知念とダミアンの組み合わせ。局面によって色々出来る脇坂やら小林悠よりも、鬼木監督はこちらを選択。

また拓馬落っこちた

 コンサドーレの大枠は、下からスクエアを作るビルドアップと、ジェイに当てることで場を動かしてからの展開。
 コンサドーレのビルドアップはお馴染みの形。最後方は深井が1列降りて、ミンテとソンユン、荒野でのスクエアを形成。福森、進藤はそれぞれに高い位置をサイドで取りながら、最前線に5枚を並べる。という理想形を描く。
 前半は後方4人のスクエアに対して知念、ダミアンの2人がチェイシング。しかし、悪しき記憶として残っている昨シーズンの中村憲剛&小林悠から始まるドSプレッシングに比べると、幾分出口の見える形になる。
※今シーズンでいうと、鹿島や名古屋相手のビルドアップの方がかなりしんどさはあった。
 その中で少しずつ危うさを感じさせるのは、荒野が中央から落ちることで生じるスクエアの歪み。(選手目線で見るとリスク管理の意図もある動きなのだろうが)およそ4-2の数的優位のままに前進できるケース、本来ツートップを振り切る出口になりうる荒野が落ちてくることで角度がなくなり、パスコースは消しやすくなる。そして前進も滞る。そしてミシャが吠える。
 それならばと、チャナが荒野の空けたスペースを活用するも、後ろ向きで迎えに行く難易度を上げたプレーであり、その成功率は決して高くなかった。

余談。ラジオで菅田将暉『まちがいさがし』が流れた。その中の"瞬く間に落っこちた"という歌詞がどうしても"また拓馬。落っこちた"としてインプットされる。良い曲なのだが、もうこれ荒野の曲。

とっておきの飛び道具

 対して、停滞時の逃げ道としてはジェイのポストプレー。コンディションはいかがなものかという心配は何のその、飛び込みづらい懐の深さでボールを散らす。あのあたりの余裕というか、プレーの選択肢が減らないボールの持ち方は流石である。
 しかしそれでも、谷口とジェジエウ、車屋あたりは対人強度が高く各個撃破される。4-4の数的同数でもピッチが狭く見える守備範囲の広さ、チャレンジ&カバーの位置取りはさすがである。
 ジェイが機能するうちに、両サイドどちらか(早坂&石川)が相手を押し込み起点となる仕事が出来れば相手を広げることが出来たのだが、今回のチョイス(早坂&石川)ではチャレンジできる見込みは薄かった。

谷口はやっぱり捕まらない

 フロンターレのアウトプットは前後半で大きく変わるものとなった。それはメンバーの違いだったり、配置だったり、意識だったり、鬼木監督は有効な修正をかけた。
 前半、フロンターレの攻撃において比較的自由を得たのは谷口と登里。前線でキレキレの長谷川に早坂が対応するため、武蔵は谷口を見ながら登里の前進にも注意を払わねばならない。その結果、谷口は前半からビルドアップの要の1つとしてタクトを振るう。これをコンサドーレは後半まで解決は出来なかった。
 逆サイドに漂う昨シーズンMVPの家長はというと、福森のハードな対応がある程度決められた形としてハマる。車屋と家長の左利きコンビの同サイドは、序盤は石川&福森のマーク受け渡しの粗を付きながらチャンスを作る。いずれにしても、サイドを迂回しながらの攻撃が中心となる。
 逆に中央はミンテや深井、進藤がびしっと締めることで知念&ダミアンに自由な仕事をさせない。無論、コンサドーレの最終ラインの集中力あってのものだが、それにしても川崎らしい嫌らしさが前半のツートップからはあまり感じなかった。

不本意なPKとキャプテンアラーノ

 サイドは深く侵入されても中央と鉄壁ソンユンで凌ぎ失点は許さないコンサドーレ。しかし前半24分、外にドリブルで逃げる長谷川を早坂がファウル。判定はPK。ゴール方向に進行するドリブルではなかった中、早坂の対応については少々悔やまれる。
 ファウルか否か、ペナルティエリアの中か外か。観客席からは判断出来ないレベルのギリギリの判定となり、コンサドーレの選手は主審のもとに詰め寄る。
 各々に主審へ言いたいことはあろうところ、本日のゲームキャプテン荒野がそれを制して自ら審判への確認。ジェスチャーを見る限り、大したことは話していない。そもそも疑義の材料もないし。感情的にならずPKを蹴るまでともかく時間をかけさせようとする。次いで、ダミアンのもとへ寄っていく荒野。ここでも何を話していたのか、ジェスチャーからするとやっぱりしょうもないことなんだろうけど、少しでも苛つかせたり、集中を乱せれば意味はあるということなのだろう。結果として、ゴール真ん中付近に撃ち込まれたシュートはソンユンにより止められることとなる。
 荒野がキャプテンとしての役職と自分のキャラクターを活かしピエロを演じている最中、ソンユンと早坂は2,3言葉を交わす。こちらはかなり渋く熱いやり取りだったのだと思う。が、詳細については想像に留めたい。その方がかっこいい。
 

後半は総力戦の様相〜守護神の覚悟〜

 前半を武蔵のPK一発によりリードして折り返したコンサドーレ。ベンチにはアンデルソン・ロペスが切り札として待機。ハーフタイムで自由な谷口への対策は講じることだろうと、期待感高く後半を迎える。
 この時点では、昨シーズン大敗のきっかけのひとつに荒野のガス欠があったことを忘れていた。そして、コンディションに不安を抱えながらピッチに立つ選手が複数名いたことを失念していた。
 フロンターレはダミアンに代えて小林悠を投入。そして両SBの配置を交換。左の長谷川は単独でいける、右の組み立てに登里を加えることで崩しのバリエーションを増やす。
 小林悠が入ることで、前半は位置取りを崩すことなくツートップに対応出来ていた守備網に歪みが生じる。
 また、自由な谷口への対応は不発に終わり、終始ボールを握られることとなる。
 その中で、小林悠のゴール一本の引き分けで試合を終えることが出来たのは、ソンユンのスーパーセーブあってこそ。守備の形はおよそ破られていた。チャナ、ジェイ、武蔵はアクシデントありながらもフロンターレ戦へプロフェッショナルに間に合わせてきたが、ハードワークを90分続ける程には至っていない。ボールを握られ続け疲弊していく展開を、意地でも避けねばならなかった。

アンロペ復活祭は持ち越しに

 選手交代や配置変更により手を打つことも考えられたが、交代の手を打つのは後半も20分を回った後となる。白井に与えられたミッションは正確にはわからないが、サイドに押し込まれ失った主導権を少しでも取り戻してほしい。そんな願いは通じず直後コンサドーレは失点し、やはり難しい局面は続く。
 待望のアンロペはというと、やはりまだコンディションは万全ではなかった様子。谷口を無慈悲に弾き飛ばす姿は幻影となり、というよりほとんど良い攻撃機会を与えられず、次節以降にアンロペの復活祭は持ち越しとなる。

最後に

 事前に準備したゲームプラン通りに事が運ぶことなんて概ねあり得ない。その中で、相手を見ながら試合を優位に進めることができるように打ち手を投じていく。今回に関しては、コンサドーレはその打ち手があまりにも少なかった。そもそものプランの縛りもそうだが、コンディションに起因する部分は大きい。厳しい夏に向け、1日も早く怪我人が復帰し、コンディションをトップに持っていけるように祈るばかりである。

おまけ〜ルヴァンカップ プレーオフ 1st leg〜

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 水曜日に行われた、AWAYでのいわば前半戦、名波Jには圧倒的戦績を誇る我が軍は若手主体のメンバーの中貴重な勝利を収めた。このメンバーの中で、中村と藤村はもっと厳しいかと思ったが、それぞれに良い意味で個性を出していたように思える。藤村から荒野を感じ、中村から奈良を感じたのは多分気のせいだろう。
 濱にしても阿波加にしても、試合出ないことには…となってくる年齢ではある。夏の移籍期間が近づき、そろそろ来季以降の編成についても検討が入る時期。諸々考えてしまうところではある。


 相手のロドリゲスもズルいという声はあったが、こちらのアンデルソンもこのメンバーの中なら相当にチート級である。加えて、ごはんを誰よりも美味しそうに食べる岩崎がフランスから帰ってきたばかり、いきなりフル出場する。岩崎は今後やってくれると思うのだが……どうだろうか。
 若手がバテないというのは幻想である。昨シーズンの荒野のが前半途中でガス欠になったりと、公式戦の中で、試合ごとに負荷の掛かり具合は異なる。スタミナ向上の話に併せて、事前のポジショニングで解決する手は考えた方が良いと思う。
 何れにしても、中村、藤村、岩崎については公式戦の様々な場面でプレーを見てみたい。