ばもすかとうの蹴球茶飲み話

北海道コンサドーレ札幌のことを中心に、よもやまのことを緩くしたためていきます。

【J1リーグ2019シーズン第15節】川崎フロンターレvs北海道コンサドーレ札幌〜汝、右の頬を叩かれたらルヴァンで憂さ晴らし〜

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 金Jの朝は早い。その週に処理してしまいたい業務にアプローチしながら、もちろん当日に放り込まれるロングボール(緊急案件)にも対応できるだけの準備を整える。かと言って、余裕を持たせては誤解を生むので、そこは巧いことやらねばならない。ちなみに金J前日の夜は遅い。これもまたやむなしである。
 昨シーズンのAWAY川崎戦は、コンサドーレにとって単なるリーグの中の1試合ではなかった。タイミング、結果。期するものは多い。それもあってか、多くのサポーターが等々力へ向かい、当日はチケット完売大入りの一戦となる。
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等々力のスタンド、俯瞰出来ないのは仕方ないにしても、陸上トラック部分が距離を感じさせる。雰囲気だ、雰囲気を楽しむんだ。

もう思い出せないベストメンバーの記憶


 王様ジェイがスタメンに復帰。コンディション不良を報じられた武蔵、チャナが間に合いスタメンに、そして驚異的な回復力によりアンデルソン・ロペスがベンチに入る。スポットは当たらないがこっそりと中原がベンチに戻る。個人的には石川のスタメン起用も嬉しい。
 何となく揃ったような気になったが、指導員駒井&キャプテン宮澤は調整中。岩崎はフランス、菅ちゃんはブラジルに。ルーカスは前節退場のため出場停止。
 今シーズンに至ってはベストメンバーなどという概念は消えた。それは最早祈りに近い願望に過ぎない。


 アナウンサーじゃない方の田中碧はフランス、北見の猛犬・奈良竜樹は残念ながら怪我のため欠場。
 昨シーズンそのドS振りでコンサドーレを絶望の淵まで追い込んだ中村憲剛はベンチ外。最近は得意のSNS更新も滞りがちなので少し心配ではある。
 注目はツートップの人選で、今回は知念とダミアンの組み合わせ。局面によって色々出来る脇坂やら小林悠よりも、鬼木監督はこちらを選択。

また拓馬落っこちた

 コンサドーレの大枠は、下からスクエアを作るビルドアップと、ジェイに当てることで場を動かしてからの展開。
 コンサドーレのビルドアップはお馴染みの形。最後方は深井が1列降りて、ミンテとソンユン、荒野でのスクエアを形成。福森、進藤はそれぞれに高い位置をサイドで取りながら、最前線に5枚を並べる。という理想形を描く。
 前半は後方4人のスクエアに対して知念、ダミアンの2人がチェイシング。しかし、悪しき記憶として残っている昨シーズンの中村憲剛&小林悠から始まるドSプレッシングに比べると、幾分出口の見える形になる。
※今シーズンでいうと、鹿島や名古屋相手のビルドアップの方がかなりしんどさはあった。
 その中で少しずつ危うさを感じさせるのは、荒野が中央から落ちることで生じるスクエアの歪み。(選手目線で見るとリスク管理の意図もある動きなのだろうが)およそ4-2の数的優位のままに前進できるケース、本来ツートップを振り切る出口になりうる荒野が落ちてくることで角度がなくなり、パスコースは消しやすくなる。そして前進も滞る。そしてミシャが吠える。
 それならばと、チャナが荒野の空けたスペースを活用するも、後ろ向きで迎えに行く難易度を上げたプレーであり、その成功率は決して高くなかった。

余談。ラジオで菅田将暉『まちがいさがし』が流れた。その中の"瞬く間に落っこちた"という歌詞がどうしても"また拓馬。落っこちた"としてインプットされる。良い曲なのだが、もうこれ荒野の曲。

とっておきの飛び道具

 対して、停滞時の逃げ道としてはジェイのポストプレー。コンディションはいかがなものかという心配は何のその、飛び込みづらい懐の深さでボールを散らす。あのあたりの余裕というか、プレーの選択肢が減らないボールの持ち方は流石である。
 しかしそれでも、谷口とジェジエウ、車屋あたりは対人強度が高く各個撃破される。4-4の数的同数でもピッチが狭く見える守備範囲の広さ、チャレンジ&カバーの位置取りはさすがである。
 ジェイが機能するうちに、両サイドどちらか(早坂&石川)が相手を押し込み起点となる仕事が出来れば相手を広げることが出来たのだが、今回のチョイス(早坂&石川)ではチャレンジできる見込みは薄かった。

谷口はやっぱり捕まらない

 フロンターレのアウトプットは前後半で大きく変わるものとなった。それはメンバーの違いだったり、配置だったり、意識だったり、鬼木監督は有効な修正をかけた。
 前半、フロンターレの攻撃において比較的自由を得たのは谷口と登里。前線でキレキレの長谷川に早坂が対応するため、武蔵は谷口を見ながら登里の前進にも注意を払わねばならない。その結果、谷口は前半からビルドアップの要の1つとしてタクトを振るう。これをコンサドーレは後半まで解決は出来なかった。
 逆サイドに漂う昨シーズンMVPの家長はというと、福森のハードな対応がある程度決められた形としてハマる。車屋と家長の左利きコンビの同サイドは、序盤は石川&福森のマーク受け渡しの粗を付きながらチャンスを作る。いずれにしても、サイドを迂回しながらの攻撃が中心となる。
 逆に中央はミンテや深井、進藤がびしっと締めることで知念&ダミアンに自由な仕事をさせない。無論、コンサドーレの最終ラインの集中力あってのものだが、それにしても川崎らしい嫌らしさが前半のツートップからはあまり感じなかった。

不本意なPKとキャプテンアラーノ

 サイドは深く侵入されても中央と鉄壁ソンユンで凌ぎ失点は許さないコンサドーレ。しかし前半24分、外にドリブルで逃げる長谷川を早坂がファウル。判定はPK。ゴール方向に進行するドリブルではなかった中、早坂の対応については少々悔やまれる。
 ファウルか否か、ペナルティエリアの中か外か。観客席からは判断出来ないレベルのギリギリの判定となり、コンサドーレの選手は主審のもとに詰め寄る。
 各々に主審へ言いたいことはあろうところ、本日のゲームキャプテン荒野がそれを制して自ら審判への確認。ジェスチャーを見る限り、大したことは話していない。そもそも疑義の材料もないし。感情的にならずPKを蹴るまでともかく時間をかけさせようとする。次いで、ダミアンのもとへ寄っていく荒野。ここでも何を話していたのか、ジェスチャーからするとやっぱりしょうもないことなんだろうけど、少しでも苛つかせたり、集中を乱せれば意味はあるということなのだろう。結果として、ゴール真ん中付近に撃ち込まれたシュートはソンユンにより止められることとなる。
 荒野がキャプテンとしての役職と自分のキャラクターを活かしピエロを演じている最中、ソンユンと早坂は2,3言葉を交わす。こちらはかなり渋く熱いやり取りだったのだと思う。が、詳細については想像に留めたい。その方がかっこいい。
 

後半は総力戦の様相〜守護神の覚悟〜

 前半を武蔵のPK一発によりリードして折り返したコンサドーレ。ベンチにはアンデルソン・ロペスが切り札として待機。ハーフタイムで自由な谷口への対策は講じることだろうと、期待感高く後半を迎える。
 この時点では、昨シーズン大敗のきっかけのひとつに荒野のガス欠があったことを忘れていた。そして、コンディションに不安を抱えながらピッチに立つ選手が複数名いたことを失念していた。
 フロンターレはダミアンに代えて小林悠を投入。そして両SBの配置を交換。左の長谷川は単独でいける、右の組み立てに登里を加えることで崩しのバリエーションを増やす。
 小林悠が入ることで、前半は位置取りを崩すことなくツートップに対応出来ていた守備網に歪みが生じる。
 また、自由な谷口への対応は不発に終わり、終始ボールを握られることとなる。
 その中で、小林悠のゴール一本の引き分けで試合を終えることが出来たのは、ソンユンのスーパーセーブあってこそ。守備の形はおよそ破られていた。チャナ、ジェイ、武蔵はアクシデントありながらもフロンターレ戦へプロフェッショナルに間に合わせてきたが、ハードワークを90分続ける程には至っていない。ボールを握られ続け疲弊していく展開を、意地でも避けねばならなかった。

アンロペ復活祭は持ち越しに

 選手交代や配置変更により手を打つことも考えられたが、交代の手を打つのは後半も20分を回った後となる。白井に与えられたミッションは正確にはわからないが、サイドに押し込まれ失った主導権を少しでも取り戻してほしい。そんな願いは通じず直後コンサドーレは失点し、やはり難しい局面は続く。
 待望のアンロペはというと、やはりまだコンディションは万全ではなかった様子。谷口を無慈悲に弾き飛ばす姿は幻影となり、というよりほとんど良い攻撃機会を与えられず、次節以降にアンロペの復活祭は持ち越しとなる。

最後に

 事前に準備したゲームプラン通りに事が運ぶことなんて概ねあり得ない。その中で、相手を見ながら試合を優位に進めることができるように打ち手を投じていく。今回に関しては、コンサドーレはその打ち手があまりにも少なかった。そもそものプランの縛りもそうだが、コンディションに起因する部分は大きい。厳しい夏に向け、1日も早く怪我人が復帰し、コンディションをトップに持っていけるように祈るばかりである。

おまけ〜ルヴァンカップ プレーオフ 1st leg〜

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 水曜日に行われた、AWAYでのいわば前半戦、名波Jには圧倒的戦績を誇る我が軍は若手主体のメンバーの中貴重な勝利を収めた。このメンバーの中で、中村と藤村はもっと厳しいかと思ったが、それぞれに良い意味で個性を出していたように思える。藤村から荒野を感じ、中村から奈良を感じたのは多分気のせいだろう。
 濱にしても阿波加にしても、試合出ないことには…となってくる年齢ではある。夏の移籍期間が近づき、そろそろ来季以降の編成についても検討が入る時期。諸々考えてしまうところではある。


 相手のロドリゲスもズルいという声はあったが、こちらのアンデルソンもこのメンバーの中なら相当にチート級である。加えて、ごはんを誰よりも美味しそうに食べる岩崎がフランスから帰ってきたばかり、いきなりフル出場する。岩崎は今後やってくれると思うのだが……どうだろうか。
 若手がバテないというのは幻想である。昨シーズンの荒野のが前半途中でガス欠になったりと、公式戦の中で、試合ごとに負荷の掛かり具合は異なる。スタミナ向上の話に併せて、事前のポジショニングで解決する手は考えた方が良いと思う。
 何れにしても、中村、藤村、岩崎については公式戦の様々な場面でプレーを見てみたい。