【J1リーグ2019シーズン第18節】北海道コンサドーレ札幌vs松本山雅FC〜"強なんで"の呪い〜
そういえば、AWAY松本山雅戦も直前でルヴァン大敗の直後だったような。結果的には突破出来たリーグの1試合とトーナメント敗退とで捉え方は違うかもしれないけれど、「この悔しさは眼鏡にぶつける」という流れは様式美に近い。
前半戦のチーム内最優秀選手は誰かという話。主力級選手が不本意ながらシフト制となったため対象者は絞られる。より勝ち点に貢献した順で言うと、やはり守護神ソンユン。欠勤の穴を埋めたという点では、早坂と金子。成長度で言うと、ソンユンやミンテに加えて武蔵もリストアップされると思っている。
この試合でも武蔵はシャドーの位置に入った。位置的にはチャナの代役ということだが、シーズン当初は武蔵がこの位置、ジェイやアンロペとの組み合わせで効果的な働きが出来るような選手とは想像していなかった。A代表への選出も何かしらのきっかけだったのだろうが、前半戦の収穫として武蔵のプレー幅が広がったことは大きい。
※とはいえ武蔵がレオシルバや米本らにマークされるとなると話は変わってくる。
日本代表からスタメンを奪った男(暫定)
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— 北海道コンサドーレ札幌《公式》 (@consaofficial) 2019年7月7日
本日の松本戦
スターティングイレブンはこちら!
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🏆明治安田J1第18節
🆚松本山雅FC
📅7/7(SUN)
⏰14:00
🏟札幌ドーム@DAZN_JPN へのご加入はこちら→ https://t.co/sKUF7Tk783#consadole #コンサドーレ#WATCHDAZN#spogram pic.twitter.com/cyIiAbO80g
この試合、前節(仙台戦)から変更があったのは左WB。菅ちゃんに代わって白井が入る。馬力の菅ちゃん、初速の白井。それぞれに良さはあるが、福森との相性やシャドー&ワントップとの関わりの方が試合全体を踏まえると重要。
チャナは松本山雅戦は今シーズン2試合ともに欠場。AWAY戦不在だったアンロペとジェイがスタメンに並ぶ。
【7.7🆚札幌】
— 松本山雅FCオフィシャル (@yamagafc) 2019年7月7日
▶ スタメン
GK 1 守田 達弥
DF 5 今井 智基
DF 4 飯田 真輝
DF 18 當間 建文
MF 3 田中 隼磨
MF 6 藤田 息吹
MF 35 宮阪 政樹
MF 42 高橋 諒
MF 20 杉本 太郎
FW 9 高崎 寛之
FW 7 前田 大然
👉試合情報はこちらhttps://t.co/x1MQfo6bR5#yamaga #Jリーグ pic.twitter.com/MogrghtDXA
"足の速い中田翔"こと前田大然を擁する松本。この夏に誰かしらの補強、あまり噂を聞かないがどうなのか。
俺たちのサッカー
札幌のボール保持。時間帯によってお互いに振る舞い方は変化した。
序盤のターゲットはジェイ・ボスロイド。高さを活かすよりも裏を狙うボールが有効。松本との前回対戦時、ワントップを張った武蔵の裏抜けと福森の高精度フィードが噛み合ったシーンを今回はジェイが再現する。松本の最終ラインにジェジエウやファン・ダイクはいないにせよ、せっかく築いた松本城壁がいとも簡単に越えられる。リアクションの悪さもあっただろうが、やはり福森のクオリティが抜群だったのだろう。きっとそうだ。
中盤以降、松本の対応により、ボールの出処を自由にさせない。ソンユンを中心に狙いどころとされ、ゆったりとした準備と選択の猶予は少ない。高さに優位性のあるジェイには中々良いボールが入らず、ビルドアップの出口はアンロペやルーカスへ。五分五分の勝負になる。
松本の術中に嵌まりつつ、落ち着かない時間帯が続く。トランジションの応酬については、後述する。
三本の矢
武蔵はチャナの役割を果たそうとする。対して、アンロペは前線でマタドールの仕事場を守る。福森や深井は左から前進し、ソンユンからのロングフィードも飛び交う展開。ルーカスやジェイが競り合った後に対応可能な距離感を保つためのポジショニングだったのかもしれない(セカンドボールを拾えるとは言っていない)。
ジェイ、アンロペ、武蔵をトリプルタワーと称することがあったが、この試合を見る限りアンロペはボール落下点に入るのがあまり得意じゃなさそう。
雰囲気と帰化意欲、人柄の良さという共通点だけでパトリック的運用をするのは得策ではない。
ジェイの日ではなかった
プロとして、試合後のジェイの発信やそれに伴うメンタリティは貴重なもの。幾度となく決定機を枠に当てても、スイッチを常に切替なければならない。ジェイの日を待つばかり。
対して、サポーターはとことん引きずって良いと思っている。喜怒哀楽を表現することで独特の空気感は生まれるし、エンターテイメントにおいては、それが転じてエモいというものに繋がるらしい。エモいという概念については研究中である。
不確定を勝機にしたい松本
松本といえば、ロングフィードを軸にした攻撃展開。ミスやボールロストが生じたときにダメージの大きい位置へ火種を投じていく。ギャンブル性の高そうな思想ではあるが、しっかり科学することで世界のトレンドのひとつとなった。
大仰な話をしたが、何もロングフィード以外がタブーとなっているような、一昔前の高校サッカー的指導ではない。障壁なく前進出来るならするし、その方がボール非保持側も選択肢が増えて煩わしい。
この試合を通して松本はボール保持率を比較的維持しながら進行させていた。事前のゲームイメージと一致しないことに札幌サポーターも困惑する。
ジェイやアンロペがそこまで松本のビルドアップ始点に負荷をかけられない(守備基準として認識があったのかは不明)。時間とスペースが与えられれば、プロクオリティのロングフィードを放り込めるし、余裕あるビルドアップの道筋も多く見えてくる。松本が所望するトランジションの応酬を呼んだ要因のひとつとなった。
こうした構造となることはミシャや四方田氏らの想定内だったのか、そして修正の手を打っていたのかはわからない。
"気持ちの強さ"という呪い
『呪い』を"まじない"と読むか"のろい"と読むかは皆様のご自由に。勝手なイメージ、前者が若干ポジティブで後者は完全ネガティブ。
試合中や試合後にTLに流れてきた中で芳醇な香りを発していたのは"気持ちの強さ"や"メンタルで負けている"という言葉たち。
個人的には、この手のものは決断に迷いないように"見える"ことを称した表現だと思っている。滝行をしたり、これ以上辛いことなんてないと思うくらいのハードトレーニングを積んだり、"強なんで"とお気持ち表明するより、味方のことを知ることとか、技術や戦術的に補完したりできる要素じゃないかと。
その点、松本は良い意味で割り切っているために決断に迷いは少ないように見える。
そして、そんな松本が上位争いをしていないのは、迷いなく最善ではない決断を選ぶからなのだろう。反町監督はリアリストである。
最後に
チャンスも多かったがピンチも多かった。面白かったのは、前回AWAYでの対戦時ハイライトと似たようなシーンが両ゴール前多かったこと。次節大分戦もそんなことがあれば目も当てられないところ。
チャナや宮澤が復帰することで、ロングカウンターを軸のひとつとした構え方はどう変化するのか。守備はどこを捨てるのか。駒井はコンディション上がってきているのか。次節(本日)も注目です。